第3回 同人誌と表現を考えるシンポジウム(2007/5/19)その3

最後に、関連する話題について自分なりの考えを書いてみる。

シンポジウムの中で、

最近は、18禁の作品であるのに、表紙や奥付にその記載のないものが増えてきている

との指摘があったので、試しに自分の持っている同人誌を適当に見てみたところ、その中にも18禁なのに表示が全くないものがあった。また、書いてあっても、表紙に文字で「X-rated」「大人向け」「For adult」と地味に、若しくはデザインに隠す形で書いてあるものが多い。アイコン表示や目立つ色を使った表記は少なく、これはサークル側ももう少し考慮をしたほうがいいのではないかと感じた。

サークル側の不注意という意味では、表紙に露骨なイラストを用いることについても、シンポでは懸念の声が上がっていた。また、最近はイベント時にサークル宣伝のために貼ってあるポスターにも露骨なものが多いと感じる。18禁作品は、それが見たいと思う人のみに渡るべきであり、誰にでも見える形で露骨なイラストを表示するのは、18禁作品を作っていることに対して責務を果たしていない。

18禁作品は、その名の通り18歳未満には販売してはいけないことになっている。このため、18禁作品を作っているサークルは、この本が18歳未満の目に触れないように努力をしなければ、「青少年保護育成条例」により罰則を受ける可能性がある(なお、条例は自治体ごとなので存在しないところもあるが、東京都には存在するので、コミケではやらないとアウトである)。また、これがサークルだけの話で済むのなら話は簡単だが、このことがイベント主催側の管理不届きと見なされた場合、そのイベント自体がその後開催できなくなってしまう可能性もある。コミケの基準は一般の出版社の基準に比べるとかなり厳しいらしいが、このことが理由にあるからだそうである。

18禁という形で作品を発表したいという理由も気持ちも分かるし、実際にニーズも多いと思う。今後もこれらの作品の発表の場が末永く残るよう、各サークルは再度我が身をふり返り、見直すべきところは見直すように努力するべきだと感じた。また、今後仮に自分がそのような作品を提供する立場になった場合でも、今の気持ちを忘れないように肝に銘じておこうと思った。繰り返しになるが、個人だけの話ではないのだ。

前ページで少し書いたが、奥付についても最近は抜けているものが目に付く。また、書いてあっても非常に小さかったり、目立たなかったりするものも少なくない。住所が書いてあるものになると、自分が持っている本の中では数えられるサークルくらいしかない。

さすがに住所を書くのは、最近の物騒な背景を考えて強要しないほうがいいとは思うが、「サークル名」「メールアドレス」「ホームページアドレス」の最低でもどれか1つは目立つ形で書いておくべきであるというのが自論である。また、印刷会社であるが、前にどこかで聞いた話であるが、「この本の装丁がいいな」と思ったときに印刷会社を参考にすることが多いらしい。後世のクリエイターのためにも、そして印刷会社のためにも、印刷会社も書いてあげようよ!持ちつ持たれつだし。(^^;


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